
225 soarer
【8/17】リスクオフ後退も積極的な買い材料がありません。

こんばんは。
北朝鮮の祖国解放日も過ぎ去り、懸念されていたグアムへのミサイル発射計画も撤回したとの観測が出たことで日経はじわじわと戻し基調ではあります。
厳密にいえば「ミサイル発射撤回の計画」が出たところから戻してきましたが、その後は上値を追うのは難しい形となっています。
8/16(昨日東証)も、先物は日足-1σ19,816を僅かに超えた19,820で下落し終値19730とここ2日は-2σ~-1σで推移。
8月2週で株式市場の下支えとなっていた1Q企業業績もほぼ終わり、次の手掛かりとなる材料は少し遠い8/25(金)の北朝鮮船軍の日(軍事優先日)でしょうか。
日本企業の1Q決算を振り返ると、
全体の68%が増益となり、うち30%弱が過去最高益となりましたが、本日報道にもあるように金融セクターでは地銀の過半数が減益(総計金額で昨対-25%)とちょっと心配される記事も出てきています。
最新EPSは1,415円と依然1,410円台をキープしていますが、最新の想定為替レートは2017通期で108.31円と現在の110円台後半と2.5円ほどの差。
ここからさらにドルが買われ円安となればEPS上昇PER低下で日経に上昇圧力がかかりますが、ドルが買われる要素のトランプ大統領の税制改革は期待薄。
既に米与党共和党から法人税15%への引き下げは無理で20%台後半が現実路線といくつかアナウンス出ていますが、それも1%の法人税率減で10年1,000億ドルの赤字が出るためです。(20%減で2兆ドルの税収減)
来月末期限となる連邦債務上限引き上げ懸念もある上に、法人税引き下げ分を補うための・・・
①本国還流減税(レパトリ減税。10年で1兆ドルの増収案)
②オバマケアの撤廃(10年で1.1兆ドルの歳出減案から、10年0.5兆ドルの歳出減案までスケールダウン)
上記2つすら見通しが立っていません。
連邦債務上限引き上げ見通し立たずの政府機関封鎖懸念も改めて出始める中、ここに直結する税制改革をドカンとやってくると見るのはもう難しいと思われます。
これを踏まえたうえで米市場はトランプ大統領に全く期待せず1QEPS 昨対+9.9%を軸に高値推移しているわけですが、ではここが崩れる可能性は何か。
まずは本日3:00のFOMC議事要旨かもしれませんし、利上げ観測の急浮上かもしれません。
長いQEを経て米国企業の現預金は2.8兆ドルと、欧州2.1兆ドルや日本1.9兆ドルを上回って地域別1位ですが、それを活かす有望な投資先が無い企業が自ら自社株を買い、米国株のEPSを更に切り上げている現状があります。
日本もQEのおかげで同様の事態が生じており、自社が筆頭株主の企業は全体の16%に上っています。
これが崩れるのはQEからのテーパリングであり、まさに今がその過渡期です。
現状の米市場は明確に強い数値が出ている中でも、トランプ政権の不甲斐なさからインフレ見通しやGDP見通しが弱めとなっているために、利上げ観測の織り込みが進まず金利が上がらず増々米市場にお金が流れ込む形となっています。
また上述のように世界的にQEでお金が余っている現状、
テーパリング方向をECBもFRBも示しているとはいえまだテーパリングを開始していないため、魅力的な債券市場(流動性もあり利回りもある程度期待できる債券)である米国債券がマンションと同じ理屈で買われる事態も続いています。
日本も銀行預金残高が1053兆と大台を超えましたが、運用難で大弱りの銀行の担当者がリストアップするのはREITやETFの他に2~3%台の利回りがあるEU債券と米国債券しかないと言います。
少し前の地銀は、静銀の米国債運用の大失敗で行政から損失を最大で1~2割に抑える運用指針が出ている上、運用次第では立ち入り監査があるためにリスクオン寄りの運用は及び腰となっていました。
ですが上述のように上場地銀過半数が減益となっており、銀行によっては日本国債部門担当者を削減、ポートフォリオでもマイナス金利の日本国債をほぼゼロにまで縮小し、その分を株と米国債・EU債に振り分ける動きが出ているようです。また2025年ごろには地銀の60%が経常利益が赤字転落するとの観測もあるのは兼ねてからお伝えしている通り。
これらが逆回転するのは米国とEUのテーパリングが契機となる恐れが強いと考えています。
(日本国債は別の意味で危険ですが・・・リンクを宜しければ)
リスクオフ緩和からの株高局面再開と即ならない理由。
ファンダメンタルの推移を注視して流れが変わる兆候を見逃さないようにしたいですね。
ではでは!
明日はYoutubeで放送再開予定です。